水槽の微生物 その4
前回は微生物の大きさから考えたので、今回は数の面から考えてみましょう。概念図が右上イメージ図です。
色んな病気が目に見えて顕著に発症するのは、多くの場合、原因菌が指数関数的に増えて、10の7乗から10の9乗に達した場合と言われています。人間の食中毒でもそうです。しかも1gや1ml中に存在する菌数です。だから、魚体や飼育水全体となると10gから10000ml以上なので、x10〜10000倍になります。こうなると藻類も色が出てきたり、大腸菌汚染水でも若干の濁りが出てきます。あまり関係ないけど、最近噂の毎日砂糖添加の酵母脱窒システムも酵母増殖による白濁が凄いそうです。
とにかく良かれ悪しかれ症状が出るのは億単位なのです。だから99.9%殺菌しても数万以上の菌が更に残る訳です。水を頻繁に換えたとしても、2/3交換を3回繰り返したとしても99%程度の除去率です。
一方で、自然界でも殆どの起因菌は、元から常在していると言われています。多分10の2乗程度以下なのでしょう。だから、魚自身の抵抗力低下や水質悪化で病気になる固体も稀に出てくる訳です。エロモナスも白点も完全にゼロではなく元から居ると言われています。ホンジャ、どうしたら良いんだベ? という事になります。
赤斑も白点も尾腐れも、症状が出たら隔離して色素剤なり抗菌剤で治療ですが、肝心なのは、それに至る前の黄色信号の時に何を工夫するかなのです。黄色信号とはどんな時でしょうか?
@何時もの餌量を食べ残す
A口パクを頻繁に行う
B痒がって底砂や壁面にヒレ打ちながら体を擦り付ける
C背びれや尾びれを常にたたんだり、頻繁に震わす
Dヒレの付け根などに僅かに赤斑が出てくる
こんな症状が2つ以上重なったら、例えば次の工夫を次の順番で行います。
@給餌中止
A底砂や濾過マットの汚れを確認して適宜汚れを除去する
B水換えする、中和・温調・ブクブク処理の水で3/4位
C塩添、0.5%前後
Dヒーターで20〜25℃程度にコントロール
これ以外にも、魚や貝の亡骸が砂に埋もれて、底面フィルターとかに隠れていたりすると危ない状態です。亡骸は10の9乗近く腐敗菌が固まっているからです。
我孫子は数年前から底砂は1cm以下にしています。底砂は、水草や景観の面から捨てがたいのですが、長期的に手軽なメインテナンスを考えると諸悪の根源だからです。
我々人間が都会のマンション生活で生活習慣病に至るのと同じイメージですが、水槽で人工的に魚飼育すると、どうしても上述した原因を作り易くなります。
@食べ物は美味しいものがフンダンで、ついつい食べ過ぎ
A気が付くと、部屋はホコリとゴミだらけ
Bジュウタンや畳やフトンは天日干しした事が無い
だから従ってこの辺をReセットして、病気になる前に、必要な物だけシンプルに配置して予防する訳です。
名人の水槽を見せてもらうと、大変勉強になります。皆さん過去の勉強でオリジナルの工夫策を持っています。我孫子の経験では名人になればなるほど、自然の状態に近づけて飼育しているのかなと思います。太陽光に当ててビオトープみたいな状態で、少ない個体を余裕の水量で飼育する様な感じです。案外、問題なのがshopの水槽です。だからshopから購入した魚は絶対にトリートメントが必要になります。商売では自然な飼育が難しいからなのでしょう。

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