水槽の微生物 その2
まずは微生物の中で最も代表的な「細菌(バクテリア)」について考えてみましょう。そもそも、細菌にはどんな種類があるのでしょうか?
我孫子@の独断では、細菌の種類を考える場合、大きく2つの分け方が、ポピュラーだと考えています。これを表にしたのが右上一覧です。グラム染色と酸素の影響です。そもそも、細菌分類学は人間の疾病予防・治療から生まれた学問なので、病院や大学などの研究機関で臨床的に分類し易い実用的な方法が基本になっています。色で染めたり空気条件下で培養が可能だったりとか、
グラム染色とは、1800年代後半に研究者グラムさんが見つけた方法で、クリスタル紫とルゴールヨウ素で色が染まる細菌と染まらない細菌に分ける方法です。私達がメチレンブルーで水槽消毒する時に、指に色素が染み込む経験をします。イソジンで手指を染めてしまうのも同様です。細菌の外側に数十nmのペプチドグリカンと呼ばれる外膜があるのか無い(少ない)のかを診る為に行います。外膜が厚いとグラム染色されて色が染まりグラム陽性に分類されます。染まらなければグラム陰性菌です。外膜の厚みは何を意味するのでしょうか?我孫子は、タフな菌は陽性で厚手の殻に覆われている弱っちい菌は陰性で殻が薄くて頑丈では無い、というイメージで捉えています。ここで大事なのは、メチレンブルーで死に易いのはグラム陽性で、死に難いのはグラム陰性なんだヨ、というイメージです。色素剤で染まる=ペプチドグリカンの破壊=菌体の生存不可、というイメージです。グラム陰性菌は一般に弱っちいけど、色素剤には強くて、実際、尾腐れや赤斑はメチレンブルーでは直り難いのです。
次に、酸素に対する挙動で分ける分類です。
@(偏性)好気性=酸素が必要な菌。水槽飼育で最も大事なろ過菌君達です。だから何回も、我孫子はブクブクの重要性をレポートして来ました。水槽に関係ないけど代表的な奴が納豆菌です。(^^;.
A通性嫌気性=酸素があっても無くても生きていける中間タイプの菌です。水槽飼育では悪さをするエロモナスやカラムナリスが代表例です。一方で魚の腸内にも多分人間と同じに,乳酸菌とは言いませんが、何らかの善玉菌がバランスして生きているとイメージします。だから抗菌剤を使うと、人間の抗生物質と同じで、魚君達はお腹を壊していると推測します。トリートメントの後は消化の良い餌を僅かにゆっくり給餌する必要が、こんな理屈で理解できます。
B(偏性)嫌気性=酸素があると死んじゃう菌です。もしタナゴにもビフィズス菌みたいな嫌気性善玉菌が居ればこのカテゴリーです。でも多くは、腸内ヒヨリミ菌か悪玉大腸菌達でしょう。食中毒で怖いボツリヌスのクロストリジア属もこの仲間になります。魚飼育のセミプロが夢見る永久水槽で必要な脱窒菌(硝酸塩を窒素とガスに変える)もこの範疇です。底砂を25cm以上敷いて至極僅かな水流でデニボールなんかで永久水槽にチャレンジする話は稀に聞くワクワク物語です。昔、沢山実験しました(^^;.
まとめると、メチレンブルー等の色素剤で、大事なろ過菌や悪いエロモナスは死に難く、グラム陽性の腸内善玉菌は死に易い事をイメージします。そして治療中でも空気(酸素)ブクブクは、とても大事な事を再認識します。さもないと硝化が進み難くなり、亜硝酸やアンモニアで二次災害になってしまいます。http://www.asahi-net.or.jp/~gp6s-chr/other55.htm

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